朝6時過ぎに優泰を学校へ送り迎えしてくれるバンの運転手ピータノンから電話が入る。車が壊れて動けないから今日は学校へ送り迎えできないと言う。もともととんでもなくボロイ車であり、壊れて動けなくなるのは年中行事のようだが、このように「動けない」と電話を入れてくるのは珍しい。よほどヒドイ壊れ方をしたのだろう。聞いてみるとクラッチがダメになったそうである。いつもお金が無くてピーピーしている彼にクラッチ修理のような大きな修理ができるであろうか、、。そんなわけで、今朝も優泰を自転車に乗せて学校まで送る。タイの現地学校はまだ暑期休み中なのだろうか、ふだんなら子供たちの送り迎えで大渋滞するプリンスロイヤル学校前も閑散としていた。タイは5月に暑期休みが終わると新学年が始まる。今、郊外の巨大スーパーでは新入学セールのような感じになっていて、目立つところに学生服や靴などが並べられている。もっとも、学生服と言っても、上着は無くワイシャツと青いズボンやスカートである。日本だったらランドセルや学習机が目立つが、その手のものは見られないようだ。
昼ご飯に買いだめしたインドネシア製のインスタント・ミーゴレンにたっぷりのラー油をたらして、「これが美味いんだよねー」なんて独り言を言いながら食べる。一昨日くらいにも公開日記に書いたと思うが、大学近くにあった珍珍亭の油そばは当時、つまり20年ほど前、学生たちの間で、「油そばには麻薬が入っていて、始めはまずいが、何度も食べていると、常習性がついて止められなくなる」と噂されていた。麻薬など入っているわけではないが、それほどハマリやすいと言う事なのだろう。しかし、学生当時から貧乏であった私には珍珍亭の油そばは習慣をつけてしまうには高すぎた。並が400円、大が500円、特大が600円で、こんなものを毎日食べていたら、アルバイト代がなくなってしまう。そこで、私はなるべく習慣をつけないようにと学食で150円のカレーうどんをすすって、珍珍亭へはめったに食べに行かなかった。
午後に優泰を学校へ迎えに行くついでに修理屋に立ち寄ってみる。ビートルのフロントフードを開け、前輪のあたりに工員が首を突っ込んでゴソゴソやっている。なんだ、まだこんな状態かぁと溜息が出ながら、何をしているのか観察していたら、クラクションが鳴らなくなって、それで慌ててゴソゴソ始めたようだ。どうもよく見ていると、前輪あたりの部品をとったりつけたりしている最中にクラクションの配線をちぎってしまったようだ。まったく、何してるんだろうか、、。ハンドルの歪みは治ったようで、安定感も良い。しかし、エンジンの回転に不整脈のような、息切れするようなところがあり、その修理はまだされていない。ギアボックスから油漏れもそのままだ。こりゃ今週中は無理だろうかなぁと思いながら修理屋を後にして優泰の学校へ向かう。
優泰の学校には優泰と同じピータノンのバンに乗って通う韓国人の女の子のお母さんがモーターバイクに乗って子供の迎えに来ていた。子供は2人でモーターバイクに3人乗りである。チェンマイでは良く見る3人乗りだが、乗っているのが韓国女性と言うのは始めてである。韓国人女性がモーターバイクに乗っているのを見たのは始めてである。韓国では女性が自転車に乗っているのでさえめったに見たことが無い。母は強しと言ったところであろうか。
アパートに戻ってシャワーを浴びて一休みしていると携帯電話のベルが鳴った。タイ女性の声で「誰?タローか?どうしたの?」と言っている。誰だろう?私の名前と携帯の電話番号を知っているのは、象キャンプとか旅行会社、放送局の女性マネージャーくらいなはずだ。「どうした」と聞かれて、なんと答えて言いか一瞬頭が白くなった。が、次の瞬間「もう店閉めるが車は今日取りに来ないのか?」と言われ、なんだ修理屋かと漸く飲み込めた。まったく、タイの電話はかけた方から名乗ると言うことがめったに無いから、受けたほうは面食らってしまう。しかし、さっきまであの調子だったビートルの修理が完了したと言うのもなんとなく合点が行かない気もするが、とにかく「あ、わかったすぐ行く」と言って電話を切り、乗合ピックアップに乗って修理屋へ向かう。
修理屋では工員たちがもう酒盛りを始めていた。ビートルのキーを手渡され、修理代の精算をさせられる。ちょっと思っていたより費用がかかった。「高いねぇ」と言うと、「修理に何日もかかったから」と言う。明細もあるのだが、崩れたタイ文字で何がかかれているかわからない。それに文字がわかっても車のパーツのような用語は私のタイ語辞書には載っていないだろう。「エンジンや油漏れを見てくれた?」と聞いたら、「マイペンライ(大丈夫)」と言う。これは確認済みと言う意味なのだろうか?なんとなく、酒盛りの軍資金のために呼び出されたような気もしないではない。「調整したの?」と聞いてみると「したよ、したした、もし具合が悪かったら、明日は休みだから明後日来てよ」と言う。うーん、ますます怪しい。これ以上問い質しても埒があきそうに無い。運転席に乗り込んで走り出してみる。アイドリングがずいぶんと高めに調整されている。それとブレーキが甘い。「ブレーキの効きが悪くなってるよ」と言ったら「だったら明後日来てよ」とまた言われてしまった。
夜、従来使っていたパソコン電話をデルタスリー社のものからネットツー社のものに切り替えた。デルタスリー社のほうが公示価格は日本宛の通話利用金が安いのだが、どうもサービスの品質がこのところ良くない。音声が一方通行になりやすいし、つながらない事も日常茶飯事、さらに課金サーバーに問題があるのか、繋がってもいない電話に料金がかかっていたら、通話時間や通話料金にトラブルが多すぎる。そこで、若干高めだがネットツー社のサービスへ乗り換えた。品質などを試したところデルタスリー社よりも安定しているようだ。もっとも、タイ国内からの発信の場合、タイ国内のネット事情の影響も大きいのだが、、。
朝食 |
ご飯にわさび漬け、ワカメスープ。 |
昼食 |
即席ミーゴレン。 |
夕食 |
小屋がけ食堂の豚の首回りの肉入り五目野菜炒め、タイ式焼きうどん。 |