6月10日 日曜日
6時に起きて優泰と2人メーホンソンの町に近い小山に登る。近いというより町中にあると言った感じの山で、頂上にお寺が立っている。ここに登ればメーホンソンの町が一望できそうである。
麓から眺めると大したことのない小山であったが、頂上の寺院へつながる参道はツヅラ折れの急坂で、階段もある。優泰の手を引いて登るだけで15分以上はかかったので、多分四国の琴平さんくらいあるのではないだろうか。
頂上からはメーホンソンの町が確かに一望できた。目立つのは飛行場の滑走路、ゲストハウスの前の沼など本当に小さく見える。市内あちこちに金色、銀色の寺院も見え、なんとなく以前訪れた事のあるラオスの古都ルアンプラバンの眺めによく似ている気がする。そうそう、沼の周りはたしかビルマのチェントンにも似ている気が昨日したっけ。このあたりの人たちは、町を見下ろす小山があったり、沼があったりするところに町を造るのだろうか?そういえばチェンマイもドイステープの寺院が町を見下ろすところにたっている。コテージへ戻ってシャワーを浴び、ゲストハウス内のレストランで朝食をとる。出きるものは目玉焼き程度でタイ料理はできないとのこと。お母さんはトーストと目玉焼きにコーヒー、私はツナサンドウィッチとコーヒー、優泰はクラブサンドウィッチとパイナップルジュース。パンはちょっとパサパサであったがツナサンドにはスライスした玉ねぎが混ぜてあり、この玉ねぎが甘くて美味しい。クラブサンドもただの食パンにツナとチーズとベーコンを挟んであるだけで、焼いてもいないというシンプルさであった。
朝食後、モーターバイクに再び3人のりして、今度は北に向かう。メーホンソンから18キロほどのところにタムプラーという洞窟があり、大きな青い魚がいると案内書にあった。北へのハイウェイも良く整備された道であったが、途中2ヶ所ほど峠道があり、小さなモーターバイクで3人乗りだと、エンジンがかなり喘いでしまう。
タムプラーは小さな観光地の様相で、通りから入り口には屋台風の店も出ていた。そんな一軒で焼き芋を買う。ひとつ5バーツで、皮の色は白いが、中身は黄色くホクホクとしてとても甘い。洞窟へ向かって歩くと、途中でチーチーというネズミの鳴き声がする。声のするほうへ行ってみると、売店のテーブルの下に緑色の蛇がいて、ネズミを絞め殺しているところであった。これを見たお母さんは目を真ん丸く見開き、あまつさえ目から異常な光を発している。お母さんはとんでもない怖がりのクセに、ホラー映画とか、蛇だとかをやたらと見たがる。10分たっても15分たっても、蛇を凝視したままだ、蛇はあごをはずして、ネズミを頭から呑込みにかかっているところであった。私は見ていてあまり気持ちの良いものではなく、早く洞窟へ行こうと急き立てるが、まったく動こうとしない。結局子ネズミを尻尾の先まで呑込み終わり、胴体の真中に大きなコブをこしらえた蛇が隣の木にヒュルヒュルと登って見えなくなるまでの30分をここで過ごす事となってしまった。
洞窟の入り口近くには清流が流れており、つり橋もかかっている。清流には確かに沢山の青い魚たちが泳いでいるのだが、この景色どことなく上高地の梓川そっくりである。洞窟まではつり橋から木道が300メートルほど続き、木道は清流に沿っている。洞窟そのものは探検するようなものではなく、見た目にはただの祠のように見え、仏像か何かが安置されていたが、洞窟の底は深そうな穴が開いており、清流が流れ出ている。そして無数の巨大な青い魚たちが鱗を翻している。洞窟入り口でこの魚たちようの餌を売っており、初老の西洋人夫妻が魚に餌を与えていた。お母さんが魚の餌を手のひらに分けてもらったが、この餌と言うのがセミだとかの虫の死骸である。せっかく貰ったものだし、普段なら悲鳴を上げるお母さんだが、こではふんばって虫の死骸を洞窟の底に住む住人(魚)たちに投げ入れると、魚たちはバシャバシャと水面で水を蹴立て、争って食べた。
洞窟から戻る木道の上で、魚の餌を買う韓国人観光客を見かける。しかし、良く見たら以前ソウルガーデンレストランで一緒になった親子である。聞けば今朝車で北と言うではないか、いったい家を何時に出たのであろうか?メーホンソンの町への帰り道で、国立公園の矢印があったので左折して山道に入ってみる。約2キロほど行くと、川縁にちょっと開けたところに出て、そこがよく整備されたキャンプ場となっていた。ちょっとモーターバイクをとめて散策してみる。管理もしっかりしているがキャンプをしている人も、いくつかあるバンガローに宿泊している人もいなかった。ただ元気なニワトリがヒナを連れて歩いているだけであった。
11:30にコテージへ戻り、モーターバイクにガソリンを20バーツほど入れて返却し、シャワーを浴びて帰り支度をする。昼食にはお母さんがまたコーヒーシェークを飲みたいと言うので、昨日夕涼みに立ち寄った沼のほとりのレストランに入り、パイナップルチャーハンと鶏とカシューナッツ炒めライスを注文する。飲み物に私はビール飲んだが、タイで昼間からビールなど飲むのは実に久しぶりだ。
1時に昼食を終えて空港まで歩く。小さな町なので空港までも徒歩5分ほどだ。空港の前にはやたらに立派な病院があり、リゾートホテルと見間違うほどだ。金持ちたちの転地療養用の病院だろうか、、、。空港ターミナルもこんな田舎町には不釣合いなほど立派だ。チェンマイ国際空港と同じくらいか、それよりも綺麗かもしれない。中型のジェット機が日に3回チェンマイとの間を往復しているだけにしてはもったいない。
チェックインはあっけなく終わり、搭乗待合室に入る。西洋人が1/3くらいで、あとはタイ人の観光客や、仕事人たちであった。タイ人の観光客は小さなニンニクをリボン付きのバスケットに入れて持ち歩いている。きっとニンニクはメーホンソンの特産品でお土産なのであろう。そう言えば昨日のバスですれ違うトラックがニンニクを満載していた事を思い出した。
空港の滑走路は両端が山に挟まれているので、飛行機は離陸と同時に急角度で上昇し、稜線すれすれに舞い上がった。定刻より10分ほど早い離陸であった。きっと客も満席になり、さっさと仕事をしてしまおうとパイロットが離陸させたのだろうか、それとも夕方の便まで昼寝をしたい管制官の指示によるものか、、。バスで8時間の距離も直線距離だと100キロに満たないのではないだろうか、水平飛行になる事もなく、ベルト着用のサインも点きっぱなしのまま、2時半にはチェンマイの滑走路に着陸してしまった。
飛行機はターミナルビルの手前で止まり、ビルまではバスでの送迎となったが、距離にして50メートルあるかないかの距離をバスで送迎するとは、まったく何たる無駄か!預けた荷物もないのでさっさとターミナルビルを素通りし、ピックアップトラックを拾って、アパートへ戻る。3時にはアパートに到着。優泰も疲れていたのであろう、アパートの部屋に入るなり、リビングで寝てしまい。晩ごはんになっても目を覚まさなかった。そのため夕食はお母さんと2人でヤムウンセンという激辛の春雨サラダを食べる。さらに食べたりない私は、アパートの前でカノムチンという麺類を食べてしまった。
メーホンソンでの写真