10月9日 火曜日
朝ご飯に私はまたカレー味のチャーハンに挑戦。が、やはり朝からカレーとチャーハンなどという朝食の二大タブーを犯してしまったためか、あまり美味しくない。
優泰を学校に送り、私たちは今日からまたYMCAの英語クラスがある。今回から進級して第8コースとなる。テキストも新しくなり、レッスン5となる。ちょっと予習をしようとページをめくると今までとは段違いに難しくなっている。単語も難しいものが沢山出ており、なにやら中学校一年生の英語が急に高校一年生レベルに跳ねあがったようだ。
いざYMCAへと乗り込むと、おなじみの顔ぶれである。しかし3分の1くらいが脱落したようで、新しいメンバーは女の子がひとりだけである。そして先生も交代していた。新しい先生も若い女性で、レッスンはなるべく英語で説明しようとするのだが、まだ授業そのものになれていないのか、授業進行のテンポがつかめないでいるようだ。本人が言っていた「初めてのクラスなのでナーバスになっている」というのは、ひょっとして教えると言う事が初めてと言う意味ではなかったのだろうか、と想像してしまった。説明自体は前任の先生のようにタイ語オンリーではなく、極力英語で説明しようとしているのだが、お母さんはこの先生が気に入らないらしく、既に投げ出している様子。確かにこの先生の発音はフラットで強弱が少なく、それでいてタイ語発音の呪縛から開放されていないので、発音に高低がついてしまったり、Zの発音が弱すぎてSの音になったりしている。それでも私はこの新米先生をじっくり観察してみたいと思う。今はまるでクラスの中で浮いているが、今後どう成長して、授業展開がうまくなっていくか見てみたいと思う。それにテキストのレッスン4はやっと英語としてやりがいを感じられるレベルになったのだから。
昼食にはピーノートの店に行ってお母さんはカオソイ(チェンマイのカレーラーメン)に挑戦してみるとのことであったが、不安なので私はクオッティオの極細麺を注文し、お母さんが「ダメだ、食べられない」と言った時に交換してやれるようにした。果たして、この読みは正解で、ココナツでこってりしたカオソイを見ただけでお母さんは降参してしまった。そして私が注文したクオッティオ極細麺と交換して、食べ始めた。しかし、私の計算にひとつ足りないところがあった。お母さんは極細面が好きではないらしい。私は細いのに腰がある極細が好きだが、お母さんは柔らかいのが好きだと言う。結局、私がカオソイと極細麺の2杯を食べる事になり、お母さんは新たにクオッティオの幅広うどんを注文して食べた。
1時にお母さんはお菓子教室に行くと言う事なので、ビートルでお菓子教室の開かれる鉄道駅向こうまで送ったが、会場の家の門扉は閉まったままであった。どうやら今日は休みらしい。我が家の電話番号が変った事を知らせていなかったので、休みの連絡が届かなかったのだろう。アパートに戻りがてらリンピンスーパーに立ち寄り、マーガリンや牛乳などを買う。マーガリンが小さいもので70バーツ以上する。バターやチーズなどは100バーツ以上だ。どれも原料はタイ国内で取れるはずだが、パン食文化関係のものはチェンマイでは割高なようだ。トーストにスライスチーズを挟んだものなどはきっと、小屋がけ食堂の一品料理より高いはずだ。お母さんが夕食にはカレーを作ると言うので、豚肉を買う。適当なブロックや薄切りがなかったのでソテー用3枚パックを買う。
アパートにもどると既に時刻は2時となっている。もう優泰を迎えに行く時間だ。それに雨が降り出してきた。運良く雨はスコールのような局地性の雨で、優泰の学校周辺ではまだ雨が降っておらず、優泰を濡らさずにビートルへ収容できた。が、駆け出して来た優泰は木の根っこにつまずいて転び、ビートル車内へ沢山の土や砂を運び込んでくれた。
さて、優泰をアパートに連れかえって、私はまた修理工場へ行く。雨は依然激しく降っている。修理工場へは3時過ぎについたが、先客がいて、私は順番待ちをする事となった。私の順番が回ってきたのは4時半過ぎであった。水漏れすると思われる個所にパテを塗るだけの作業で、5時には作業完了。私はそのままコンピュータープラザへ行き、先日から探しているGIF変換のソフトが売られていないか見て回る。が、残念ながらペイントショップやフォトショップと言ったソフトは見つからず、A-netのインターネット27時間接続PINだけを買った。
アパートに戻るともう6時近かった。優泰とお母さんはまだ学校の宿題に取り組んでいる。カレーを作ると言っていたから、ジャガイモの皮でも剥いていようかと思ったら、今日はもう遅いからカレーは作れない「お父さん夕食を買ってきて」と言う事になった。まぁいいや、これで晩ご飯にもカレーを食べたら1日三食カレー漬けとなるところであった。
いつもの小屋がけ食堂へ行くと無人であった。店はやっているようだが、誰もいない。きっと切らした食材でも買いに行っているのだろうと、しばらく待つことにする。今日はやたらと待たされる1日だ。15分ほど待ってやっと帰ってきたお姉さんにタイ式のオムレツ(カイヤッサイ)と五目野菜炒め(パトパクルアン)そして鶏肉のトムヤムスープを作ってもらう。これに白いご飯でたったの50バーツである。
夕食後、優泰を自転車の荷台に載せてタイ製の清酒「忍」を買いに行く。いつも買いに行く雑貨屋は既に閉店しており、その奥の雑貨屋に行った。ここでは忍が15バーツで売られている。よし、今度からここで買う事にしよう。忍を冷やしたのと常温の日本とイチゴ味の乳飲料を買って、店を出る際に、まだ若い店主から「ありがとうございます」と日本語で礼を言われた。まぁ多くのタイ人が知っているありふれた日本語だが、「日本語上手だね」とお世辞を言ったら、なんと奥さんが日本人なのだと言う。まったく世の中はわからないものだ。住宅街の小さな雑貨屋の奥さんが日本人とは、、。ほんとうにチェンマイと日本との距離は近いのだなぁ。
買ってきた常温の忍を日本から持ちこんだ徳利に入れて燗をつけて飲む。タイに来て初めての熱燗である。ちょっと感動ものだ。最近は朝晩涼しいので熱燗が美味しい。が、飲み始めてすぐにお母さんなら優泰の腕時計の修理を依頼される。ウルトラマンを模ったプラスチック製の安物のデジタルなのだが、優泰が水につけて壊してしまったと言う。もう液晶もつかない状態だ。早速分解してみると、時計の中から水滴が出てくる。こりゃ重症だ。電池を外して電圧を測定すると1.3ボルトある。よし、電池は正常。次に液晶パネルをはずしてみると、水浸しである。どうやら原因は液晶パネルらしい。丁寧に水分をふき取り、乾燥させ、再び組み上げたら、液晶は無事復活して、時計として時刻を刻み始めた。しかし、せっかくの熱燗が、ふたたび常温に戻ってしまった。