7月9日 金曜日 天気はほぼ1日中雨
昨夜はよく寝つけなかった。疲れていたし、ベッドに入ってすぐに眠ってもおかしくないはずなのに、なかなか眠れない。そして、明け方前に目が覚めてしまい、まだ早すぎると寝ようとしても眠れない。
このホテルはナーン市内にあるシティーパークホテルと言って、田舎のホテルとしてはまずまずホテルである。ナーン県なんかに観光客が来るのだろうか?こんなホテルを作ったりして採算が合うのだろうか?と気にかかったが、採算は別として、西洋人の団体観光客も大型バスで乗り付けて宿泊していた。
そして、このホテルで朝食。昨日のランナーパレスホテルの朝食バイキングもちょっと寂しかったが、ここのバイキングは更に寂しかった。パンは食パンのみ、ハムとソーセージとサラダ、お粥に目玉焼き、果物にチャーハン。飲み物もセルフサービスでコーヒ、紅茶とオレンジジュースがあるのみであった。まぁ、昨日から、食べ過ぎているので、この位でも十分過ぎるのであるが、、。
朝から雨である。8時過ぎにホテルを出てから、市内のお寺を少し見学して、プーカー国立公園へ向かう。昨日もそうだが、今日も新緑が美しい。北タイにいると山が多いので、ちょっとくらい深い山に入っても、大して感動を覚えるようなことが無い。国立公園と言っても、日本人の目で見て、ウワァーと声をあげたくなるほどの景色には出会えない。その点、タイの人たちはスアイスアイ(きれい)と喜んでいる。
この国立公園の呼び物のひとつがチョンプー・プーカーと言う薄桃色の花をつける樹木だそうで、なんでも大変貴重な樹木であり、以前はベトナムやラオス、中国でも植生が確認されていたのが、現在ではこの場所にしかない樹木なのだそうだ。しかも、恐竜たちの時代の生き残りで、恐竜たちはこの木の実を好んで食べていたと言う。しかし、現在は開花の時期ではなく、見たところ、説明を受けなければ、見過ごしてしまいそうな樹木であった。
国立公園を抜けてボークルアと言う集落に到着した。ここではなんでも塩が取れる珍しい井戸があるそうで、私たちもそこを見学した。古い、深さが10メートルほどの小さな井戸があり、そこから汲み上げた塩水を大きな鍋で煮ている。こうして塩を作り、大きなビニール袋ひとつに5キロずつ塩を詰めて売っている。ひと袋20バーツだそうだ。聞けば井戸の塩水から、塩にするまでに、5時間かかり、大きな鍋ひとつから20キロの塩が取れるのだそうだ。天然塩であり、ちょっと舐めてみたが、ちょっと甘味さえ感じさせるほどミネラル分を多く含んだ塩のようで、料理に使ったらコクが出そうである。土産に買おうかとも思ったが、5キロとは多すぎる。もっと小分けして売れば、売れそうだが、それにしても利益の薄い商売である。私としては、この天然塩を使ったスパの施設と、山間部の静かな環境を活かしたヘルス・リゾートを開発すれば、地域開発に貢献できそうな気がした。それに、この塩そのものも、上手いので、日本で売れば良い値段が付きそうな気がする。
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ボークルア村の井戸から塩水をくみ出し、大きなかまどで煮詰めて塩を作る |
昼からはこの地域の開発センターを見学する。開発センターはまだ工事中で、一部完成しただけの建物で昼食をご馳走になる。豪華な料理ではないが、質素ながら、味わい深い。食後は地域開発センターの人から説明を受ける。このセンターはシリトーン王女がこの土地を訪問された際に、地域住民の貧困に心痛められ、王女の発案で開設されたものだそうである。それが今から3年前で、まず農業の指導をおこない、従来の焼畑を定地農業に導くことで、従来一所帯あたり100ライ(160000u)の土地を必要としていたものを15ライでも生活できるようにし、それにより森林破壊を食い止めることに成功しつつあるそうである。また、米以外の作物としてお茶の栽培なども力を入れており、こうした換金作物のおかげで、従来一所帯あたり年間6000バーツ程度であった現金収入が、数倍に増えたのだそうだ。この事業の資金は王室や宝くじ公社などから出ており、日本政府からの支援もあるそうである。
地域の教育、特に科学に関する教育にも力を入れており、毎週土曜日には、この開発センターとバンコクのシーナカリン大学とを結んでビデオ・カンファレンスもおこなわれているそうである。そのほか、母子健康などにも取り組んでおり、工芸品の指導もおこなわれているとの事であった。特に、茎の断面が三角形をした植物を編んだカゴなどの工芸品は日本へも輸出されたことがあるとの事であった。
最後に、山の斜面の畑を見学したが、このような標高の高い斜面にも、灌漑設備が施されていることには驚いた。こうした設備があれば、年間を通じて定着した農業が出きる。そして、毎年一定した収穫が見込めるだろう。まだ、この事業に取り組み始めてから3年ほどで、40%程度の成果しか上がっていないとの事であったが、こうした僻地からも、ボトムアップされていく姿を見て、隣接するミャンマーやラオスなどと比較して、タイの持つ潜在能力の大きさを感じさせられた。
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ナーン県北部は山深い。大半が国立公園にも指定されているが、農業や地域の開発も王室(王妃)のプロジェクトとして進んでいる。 |
夕食は、国立公園所長さんの招待で、ホテル近くのタイ式ビアガーデンで食べた。役所の招待であるために、ビアガーデン風であっても、アルコール飲料が振舞われることは無かったが、ビールを禁止しているわけでもなく、「自腹で飲むならどうぞ」ということらしく、私はチャーンビールを注文して飲んだ。しかも、頼みもしないのに、1本目が空になると、二本目の栓が抜かれてコップに注がれた。アルコール度の高いチャーン・ビールのため、大瓶二本も飲んだら酔いが回ってきた。イイ気分になったところで、ラジオ・タイランド・ナーン放送局からインタビューの要請を受ける。今回の研修で感じたナーン県についてと言うものである。しかも、タイ語でのインタビューだと言う。私は昨日の麻薬患者の更生施設のことと、天然塩に関することを出鱈目なタイ語で話した。酔った勢いで、脈略も無く、意味不明になっていただろうと思われるが、ラジオだけでなく同行している11チャンネルのビデオまで回ってた。
朝食
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パークシティーホテルの朝食バイキング。 |
昼食
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ボークルア郡の地域開発センターにて、淡水魚の揚げ物、キクラゲ入り野菜炒め、豆腐の薄味スープ、山菜の炒め物。 |
夕食
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プアの町の丘にあるタイ式ビアガーデン風にてトムヤムクン、淡水魚の蒸し物、ヤム、卵焼き、シイタケの炒め物。 |
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