10月7 日曜日

テレビのない日曜日の朝と言うのはいいものだ。普段ならウルトラマンから始まり、デジモンなどのアニメ番組がつけっぱなしになり、休日の穏やかな朝が台無しになるのだが、今週はテレビが修理中の為に部屋にないのである。

朝食にピーノートの店でクオッティオうどんを二つ買って食べる。優泰とお母さんで半分ずつだそうだが、彼らのお目当ては昨夜のケーキにありそうだ。

今日は夕方4時に洗濯機が届けられる。それまでに洗濯機用の給水を確保しなくてはならない。洗濯機の置き場所はバスルームの洗面台の隣である。が、もともと洗濯機を置くような構造になっておらず、洗濯機専用の水道が確保されていない。洗面台の蛇口もホースをつなげられるような構造にもなっていない。つまり何らかの工夫をしなければならないのだが、対策として考えたのは、お尻洗いの水道管を二手に分岐させる方法である。そのためには水道の分配管と洗濯機側の蛇口の新設が必要である。そこで午前中からロータス、マクロ、ビッグCと水道管を探しに駆けずり回ったが、まともな分配管はひとつも見つからない。どれも中途半端な品揃えで、用を成さないのである。これらの巨大スーパーは見かけも内容も東京近郊のディスカウントストアーがホームセンターのようなつくりなのだが、内容的にはイトーヨーカ堂的である。特に荒物類の品揃えが貧弱だ。タイ一般に、一般の家庭ではこのような荒物を扱う作業などは慣れていないのだろうか、DIYが何なのかも理解されていないような気がしてきた。

結局三軒も回って得るものは何もなく、ビッグCのクーポン食堂でお母さん、優泰の3人で昼食を食べるだけに終わってしまい。せっかくの日曜日を無駄にしてしまった。アパートに戻ったら既に2時を過ぎており、洗濯機の届けられる時間まで、あと2時間を切ってしまった。もう、こうなれば、素人相手のスーパーなど相手にせず、プロ向きの工具屋へ飛び込みに行くことにした。どこにあるかも分からないが、大体この手の店は田舎の人相手だろうと推測し、市場やバスターミナルなど田舎の人が集まりそうなところへ自転車で行ってみることにした。
案の定、チャンプアクのバスターミナルの近くに日曜日だと言うのに、塩ビパイプやら針金やらを並べた薄暗い店があった。店のおばさんにこちらが欲するものを説明すると、暗い店の棚からゴソゴソと埃だらけの箱を取り出してきた。中にはスーパーを三軒も探し回った分岐パイプがあった。さらに水道パイプ同士を接続するジョイントも、ビニールホースを固定できるタイプの蛇口も簡単に出てきた。値段も蛇口以外は嘘みたいに安い。やっぱりタイでも「モチは餅屋」なのだ。

アパートに戻り早速水道工事に取り掛かる。タイでは水道管の接合部にゴム製のパッキンを用いず、白くてごく薄いテープを巻きつけてパッキンとして使うようだ。私にはどのくらい巻けば用を足すのか分からないが、何とかぐるぐる巻きにしてねじ込めば水漏れしないことが確認できた。しかし、尻洗い用の水道は便器の横の床近くに配置されており、そこに分岐と新しく蛇口を設置することになる。注意して蛇口の取り付け角度を調整しないとバルブの開閉に不便をきたすので、テープを巻く厚みを調節しながら角度を調整した。

4時に洗濯機は届けられて、洗面台横にすっぽりと収まった。バスルームには電源供給がないので、そとから延長コードで引っ張ってくる。が、洗濯機には水道ホースは入っておらず、別に買わなくては行けない事に気づく。設置が終わり、お客様アンケートに適当に印をつけて、再び自転車に乗り、さっきのバスターミナル近くの工具屋に向かったが、残念ながら既にシャッターが閉まっていた。仕方なく、こんどはタニン市場へ向かう。市場の並びにも小さな工具屋があり、ここで透明で如何にも弱々しいビニールホースを2メートル買う。メートルあたり15バーツだそうだ。

ホースをつなげ、洗濯機に注水して、いざ試運転と、適当に洗濯物を放り込んで動かしてみると、なんと洗濯物から汚れた水が出てくるではないか! ウーン、この洗濯物はずいぶん汚れていたんだな、もうこうなったら試運転ではなく本格的に洗濯の開始である。うんうん、これはいいぞ。洗いあがりも今までのコインランドリーなどよりずっと良い。脱水しただけで乾かしてもいないのに、肌触りがまるで違う。

夕食はお母さんの希望でレモンツリーへ行って食べる。お母さんはここのグリーンカレーが食べたかったのだそうだ。私はテンプラ風の揚げ物と牡蛎の卵焼きを注文。優泰はいつもの豚肉の日本風フライとオムライスである。揚げ物が料理の中では一番遅く出てきて、ほとんど満腹になる頃にテーブルへ運ばれてきた。結局揚げ物の大半はビニール袋に入れてもらって持ちかえりとなった。

夜なかなか寝付かれず、12時近くに自転車にでも乗ってその辺一回りでもして、気分転換でもしようかと思ったが、こんな夜中に出かけるのも不審がられると思い、ベッドの中で何度も寝返りを打った。

 

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