6月5日 火曜日
1週間ぶりに日記の再開です。
今日のルートは午前10時発のキャセイ航空で香港経由でバンコクへ入ります。しかし、午前10時の出発となると、実家を出るのが相当早くなる。昨晩は深夜12時半に帰宅し、床に入ったかと思ったらすぐに起床。6時少し前の最寄駅行きのバスに飛び乗り、7時9分発の京成電車に乗る。乗換え時間から言うと一本前のスカイライナーにも乗れたのだが、千円近い特急料金が惜しく、次ぎの一般電車に乗る。平日の朝、ラッシュと逆方向だから電車は空いているかと思ったが、高砂を過ぎるあたりで満席となり、船橋を過ぎると満員電車となった。
昨晩は、11時過ぎに大泉の家へラビットスクーターを返却に行き、東久留米駅まで来たところで、すでに最終バスが出た後であった。駅前のロータリーにはタクシーが客待ちをしていたが、実家まで3キロほどを歩く事にした。夜の散歩のような気分で新しい街路を歩き、私が小学校に入学する頃まで住んでいたあたりを歩くと、当時の思い出がいくつも思い出されてきた。梅雨どき神社へと続く畑道でカタツムリを見つけ、苺パックに入れて幼稚園へ持ち込っていったこと。隣に住む同級生の亀山ケンちゃんと小川のほとりで廃材を川に浮かべて遊んだ事。あの頃は広い道だったと記憶していたが、三十年ぶりに歩いてみると、道の端から端まで手を広げれば届いてしまうのではないかと思うほど狭かったが、道端にしゃがみ込んで、当時の目線と同じ高さから道を眺めてみると、当時と同じ広さを感じる事ができた。
成田空港へ着き、チェックインを済ませる。今回も大荷物で、預ける荷物が約30キロ、手荷物もふたつで20キロを超えているが、今回はカウンターで咎められることも無く無事に手続きを済ませることができた。出発ゲート前にパソコン用の机が用意されていた。もちろん電源もあるが、残念ながらインターネットへのアクセスは用意されていなかった。ここで、日記を少し書き始める事にする。
香港までのキャセイ航空は空席が目立った。私の隣も空席のままであった。
離陸してしばらくすると、飲み物のサービスが通路の後方からまわってきた。何を飲むかと言う質問より早くりんごジュースをプラスチック製のグラスに注ぎ、私に「飲みますか?」というので、すかさず手を伸ばしてしまった。しかし、これは失敗であった。午前中だからビールは無くて、ジュースなのかと勝手に解釈していたら、横を通りすぎたワゴンにはビールやワインなども積んでいるではないか!急いでりんごジュースを飲み干して、改めてビールを所望する。機内食は白身魚をメインにしたもので、白い麺が添えてあった。飲み物に白ワインと赤ワインをもらう。デザートはハーゲンダッツのアイスクリーム。機内で映画の上映をしているようだが、見る気になれず本を読み、読み飽きたら目をつぶって休憩をする。香港までは4時間ほどで、飛行時間としてはちょうど良い長さであった。
香港での乗り継ぎは約1時間ほどであったが、広い空港内で到着ゲートからバンコク行き出発ゲートまで移動するだけで時間がかかり、到着ゲートに辿り着いたときにはすでに搭乗開始時刻となっていた。あわてて洗面所へ行き、歯を磨く。どうせまた機内食を食べるのだから今磨いても仕方がないが、でもなんだか磨いてすっきりしたかった。
バンコク行きの便も空席がちらほらと見られた。もうアルコールは飲まないぞと思い、トマトジュースをもらったが、これが生ぬるくて美味しくない。やはりキーンと冷えたビールが飲みたくなり、機内食が配られたときにビールを注文。中身が少し凍りついたカールスバーグが出てきた。機内食は白身魚の甘酢和えにご飯が添えてあった。デザートは砕いたナッツが入ったチョコヌガーのようなものであった。これは食べずにカバンにしまう。
バンコクの空港での入国手続きはあっという間に完了した。時刻はまだ4時30分。これなら市内へ出て一仕事できると判断。鉄道駅まで荷物を引っ張り、駅の荷物預けにスーツケースと布バックを預ける。30バーツ。そして市内スクンビット通り方面へ行く13番エアコンバスに乗る。まだ5時前だから、市内で1時間くらい仕事ができそうだ。バスの車掌に日本人集落のあるエカマイまでと告げ16バーツを支払う。13番バスは、少し渋滞する道を走り、バンコクの中心部近くまでほぼ順調にやって来たが、なぜか高速道路に乗ってしまうではないか!スクンビット通りまで高速を使う気かなと思っていたら、高速道路をスイスイと飛ばし、スクンビット通りを跨ぎ、南下をつづけて、クロントイの港も素通り、とうとうバンコクの東はずれまで一気に走り抜けてしまった。確かにここもスクンビット通りだが、もうだいぶ鄙びていて、パタヤビーチ行きの急行バスやカンボジア国境沿いの町まで行く長距離バスまで走っている。時刻はすでに6時を過ぎており、このまま空港に戻るべき時間となってきていた。バスの車掌にエカマイに行かないのかと聞いたら、行かないと答える。いったい路線バスが首都高速に乗って、渋滞する市内をスキップしても許されるものだろうか?しかし、他の乗客は済ました顔をしているので、きっと行き先表示板には「市内通過」とでも書いてあったのだろう。
バスを降りて逆方向行きの13番バスに乗る。今度は高速に乗ろうとせず、スクンビット通りを市内へ向かって走ってくれた。エカマイにさしかかったのは6時40分であった。本来ならもう時間的に黄色信号だが、せっかくここまで来て何もせずに徒労に終わるのは釈然としないので、バスを飛び降り、とりあえず挨拶だけでもしてくることとした。時刻はちょうど7時を指していた。もう帰宅ラッシュでスクンビット通りは渋滞し始めている。何度もこの渋滞には泣かされているので、高架鉄道で戦勝記念塔まで行く事にする。高架鉄道なら渋滞知らず。戦勝記念塔前広場にはやすやすと到着し、29番バスに乗りかえる。冷房なしの満員バスであったが、折よく私は席に着く事ができた。長い信号待ちで止まったり、進んだりを繰り返しながら、空港へ向かうパホヨティン通りを北へ進んでいたが、モチット近くで突然スコールに見まわれてしまった。通常スコールとなると故障車が続出し、大渋滞の原因となるので、とても気がかりだが、たいした渋滞にもならず、停留所ひとつひとつに停車して、スコールの中から乗客を拾い、また乗客を吐き出し、空港へ向かった。空港前には汽車出発時刻の10分前に到着。スコールはこのあたりでは降っていなかったようで、地面は乾いていた。滑り込みセーフといったきわどさで、陸橋を渡って鉄道駅へ。
汽車は定刻にやって来て、定刻に出発した。
食堂車でいつもの定食とビールの小ビンをひとつもらって夕食。食事だけ済ませてさっさと寝台車のベッドにもぐり込む。本来ならトイレ兼用のシャワー室でシャワーを浴びたいところだが、生憎タオルを持ってくるのを忘れてしまった。汗臭いままシーツに横になるのは、気になったが、下段のセミダブルほどもあるベッドは快適で、すこし本を読んだだけで眠りに落ちてしまった。